令和6年能登半島地震で被害のあったお墓の復旧工事をいたしました。富山県小矢部市城山公園にて。
富山県西部(呉西地域)を中心にお墓や石材のお仕事をさせていただいております、有限会社石森石材5代目の石森佑輝です。
令和6年の新年早々に起きた能登半島地震。能登から少し離れているこちら富山県でも、大変大きな揺れと、多数の被害がありました。この度の地震で犠牲となられた方々に深くお悔やみ申し上げますとともに、被災されたすべての皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
今なお被災によって不自由な生活を余儀なくされている方々へ、一日も早く平穏な日々が戻りますよう心よりお祈りいたします。
今回は富山県小矢部市城山公園墓地にて、その能登半島地震で被害のあったお墓の復旧工事をさせていただきました。その工事の様子をご紹介したいと思います。
震災後のお墓の様子
今回ご相談いただいた方は、震災が少し落ち着いた頃、弊社のホームページをご覧になられてお問い合わせフォームからご連絡をいただきました。お写真付きで詳しくお墓の状況をお伝えいただいたおかげで、お墓の状況や緊急度合いが分かりました。危険な状況を確認するためにも、すぐに現地へ向かいました。
現地でお墓を確認させていただくと、耐震ボンド施工以前の年代のお墓でした。墓前灯篭は倒れ、各部材がずれて、基礎コンクリートも傾いている状況でした。
修繕の方法やどのようにするかなど、いろいろとご提案させていただきながらお客様とお話をさせていただいて、最終的には「基礎も含めて新しく立て直そう!」というお話で工事に着工させていただく流れとなりました。
まずはお墓の解体です。重たく大きな石材を、クレーンや運搬する機械を使って慎重に解体をさせていただきます。基礎コンクリートも機械を使って細かく割りながら、墓地場外へ搬出いたします。
解体が終わると新しい基礎コンクリートを作る準備です。地盤の固さを確認し、しっかりと転圧を行います。その後、墓地の範囲に型枠を立て、等間隔に鉄筋を配置して、厚みのあるコンクリートを打ち込みます。
生コンクリートの打設が完了しました。
新しい基礎コンクリートが完成いたしました。この上に新しいお墓や石張りを施工してまいります。
工場では、お客様と文字彫刻の確認を行いました。今回は彫る文字の書体や大きさにこだわりたい!ということもあり、お客様とご一緒に大きさやバランスを調整いたしました。
現地巻石工事の様子です。お墓の縁取りをし、その中に張石を施工してまいります。
耐震強度を高めるためにも、ひとつひとつの部材はステンレスのアンカーや金具で固定して、耐震ボンドで施工いたします。
階段や石張りまで完了いたしました!
お墓の土台の石を施工しました。内部には防湿の砂利を敷いて、納骨室内に水分がこもりにくいような構造になっています。
こちらは納骨室部分の施工中です。こちらもステンレスの金具を取り付け、地震によるずれを防止する加工を施しています。
耐震ボンド、ほぞ穴加工をすることで、こちらも耐震強度を高める施工となっております。
お墓が完成いたしました!
お客様とこだわった文字彫刻、現地を確認されたお客様に「いいがになったねえ!」と大変喜んでいただくことができました。
こちらは階段と石張り部分です。お客様から事前に「家内の膝が悪いので、登る高さや段数を優しくしてほしい」とご要望がありました。一段の高さを10センチ程度にし、幅も取った安全な階段に設計させていただきました。現地で登られたお客様からは「バッチリですね!」と喜んでいただくことができました。
納骨室周りのお写真です。扉には家紋を彫刻させていただきました。
通路にある階段石は、お客様からのご要望で、「持てる重さだけれども、安定する大きさ」になっております。
お隣様との境界付近です。お客様から「草が生えて対策に困っていた」とのお声があったので、防草についてもお客様とお話をさせていただきました。今回は土間にコンクリートを施工することで、今後草むしりの心配が解消されました!
仕上がったお墓をご覧になられて、お客様には本当に喜んでいただくことができました。思いや構想をかたちにできるよう、お話をさせていただきながらお客様と一緒に設計をさせていただいたお墓でしたが、喜んでいただけて私自身も大変嬉しく思わせていただくことができました。この度はお墓つくりのお手伝いをさせていただいたこと、「石森石材さんにお願いしたい!」とお声をかけていただいたこと、本当にありがとうございました。